2021.1.14
故人の銀行口座はどうする?銀行での死亡手続きに必要なものや手続きまとめ
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この記事の監修者
税理士 蔵重篤史 (蔵重税理士事務所)
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身近な人が亡くなったとき、しなければならないことはたくさんありますが、早いうちに忘れず行いたいことの一つが「故人の銀行口座にまつわる手続き」です。
銀行口座の名義人が死亡したときには、口座の中身を相続するためにも早急に死亡手続きをしなければならないのです。
具体的な手続きの方法、手続きの注意点など詳しく紹介していきましょう。
身近な人が亡くなったら確認したい「銀行口座の手続き」
故人が保有している銀行口座は、死亡手続きを行い凍結しなければなりません。
この手続きを怠ってしまうと、口座に入っている預貯金を遺産として受け取ることができなくなってしまう可能性があります。
そして銀行口座を凍結するためには、遺族が銀行へ連絡し口座名義人が亡くなったことを証明する必要があります。
「死亡届を役所へ提出したのだからその情報が銀行に明け渡され、自動的に処理されるのではないか」と考えてしまうかもしれませんが、役所がそのような対応をすることはありません。
そもそもなぜ凍結しなければならないかと言えば、故人の口座に入っているお金は相続の際に遺族が勝手に引き出してしまうなどトラブルにつながりかねないためです。
しかし現在では民法改正により、「故人の預貯金×3分の1×法定相続分」であれば、ほかの遺族の同意を得なくとも引き出せるようになりました。
ただし上限があり、150万円までと定められています。
上限額以上の金額を引き出すときには、家庭裁判所への連絡と手続きが必要になります。
遺族が故人の預貯金を相続する方法
遺族が凍結された故人の口座に入金されている遺産を相続するためには、まず故人の戸籍謄本や遺言書を確認しましょう。
このとき使用する戸籍謄本は、生まれてから亡くなるまでのすべてのものです。
もし故人の出生地が現住所と違うのであれば、出生地の役所に連絡をして戸籍謄本を用意してもらう必要があります。
故人の引越しの回数が多い場合、これまでの居住地すべての役所に連絡しなければならないため大変な思いをするかもしれません。
しかしこの手続きは、相続人を明確にするために必要不可欠です。
戸籍謄本を確認すれば、故人と関係のある人物をしっかり把握でき、相続の権利がある人物を洗い出すことが可能です。
そして自分に故人との関係があることが証明できれば相続の権利があると証明できます。
もし遺言書がある場合には故人の遺言に基づいて相続人を明確にできるため、遺言書の有無を確認することも大切です。
近年では、遺言書を残していなくても「終活ノート」、「エンディングノート」と呼ばれるノートに、亡くなったときの希望や要望をつづっているケースもあります。
遺言書と違い公的な役割はありませんが、故人の思いを尊重するという意味ではこちらも確認しておくべきでしょう。
口座の相続手続きを行う場合の流れ
身近な人が亡くなったら、銀行へ連絡し個人の口座を凍結してもらうための手続きを行います。
その際に用意しなければならない書類は、銀行によって違います。
詳しくは後述しますが、よく確認しながら必要な書類を集め、揃い次第銀行へ提出しましょう。
提出後の流れは、金融機関から案内されますので従ってください。
多くの場合、書類に不備や問題がなければすぐに払戻しなどの手続きが行われます。
場合によっては手続き完了までに数日かかることもあります。
口座の相続手続きの際に揃えておく書類
改めて、口座を相続するにあたって用意しなければならないものをご紹介しましょう。
□亡くなった方の、出生から亡くなるまでの戸籍謄本
□亡くなった方の除籍謄本
□すべての相続人の戸籍謄本
□口座の中身を引き出す相続人の印鑑証明書
□遺言検認調書や検認済証明書(故人の自筆の遺言書がある場合)
□遺言執行者の選任審判書謄本(家庭裁判所で遺言執行者とされているとき)
さらに、遺言書がないのであれば「遺産分割協議書」と呼ばれる書類を作成する必要があります。
家庭裁判所で用意してもらえる書類であり、それぞれに遺産を分けることを法定相続人全員が合意した、と証明する書類です。
その手続きにおいては相続人全員分の戸籍謄本および印鑑証明書も必要になります。
口座の手続きや相続にまつわる注意点
口座の手続きに関してもっとも注意しなければならないのは、やはり「相続人すべての了承を得る」ということです。
前述の通り、遺産の手続きではたびたび「相続人全員分」の書類が求められます。
これは、「相続する権利があるのに、相続の相談を受けていない」、「遺産を別の相続人に横取りされた」というような場合、大きなトラブルに発展してしまうからです。
どれほど仲のいい関係であっても遺産が絡むことで非常に大きなトラブルになりやすいですから、きちんと連絡を取り合って合意を得ることを忘れないようにしましょう。
また、口座を凍結する前には公共料金をはじめとした利用サービスについても、よく確認しておくことも大切です。
例えば、月々の公共料金を故人の口座から引き落としていた場合、そのまま凍結してしまうと料金未納になりかねません。
忘れずに名義変更をして、各種支払いが滞ることのないようにしましょう。
公共料金だけでなくローン関係も見落としやすくなりますので、故人の口座をどのように使っているかよく確認してから凍結することをおすすめします。
まとめ
遺産関係の手続きは、きちんと行わなければ大きな損をしてしまったり、遺族間でのトラブルを招いたりする可能性が高いものです。
口座凍結にあたってはすべての戸籍謄本など用意するのが大変な書類もありますが、金融機関にたずねながら必要なものをしっかり用意しましょう。
不安なことやお悩みのことは、葬儀・家族葬の「円満なお葬式」へお気軽にご相談ください。